大腸内視鏡.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
       
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痔だと思ったら直腸癌だった!

2012/01/23

先日、60代の患者さんが肛門からの痔の脱出を主訴に来院されました。
以前から排便時に脱出してきていたのが、最近では常時脱出しているようになったとのこと。

世間一般人の感覚からすれば、排便時に脱出するというのが、まず想像不能かもしれません。
痔核の三大症状は、「出血」「痛み」、そして「脱出」です。
(参照)痔核;いぼ痔について

その患者さんは、排便時脱出自体は我慢できたけれども、常時脱出するようになって出血もするので、致し方なく来院された訳です。
肛門科の診察では、まずは指診(肛門から指を入れて触診する)から始まります。
ところがです・・・
この患者さんの場合、指診で痔核そのものが直腸まで連綿と続く腫瘍である事が疑われ、即大腸内視鏡検査の運びとなりました。

その結果は・・・・

肛門部分を肛門の外から見た写真です;痔核(実は直腸癌)の脱出が見られます(赤い部分です)。


直腸部分で内視鏡をJ字型に反転させて、肛門部分を見下ろすような角度で見た写真です(下部直腸に亜全周性に拡がる癌です;ちなみに写真左上の黒い部分が内視鏡です)。

その患者さんは、これまで症状は一切なかったと言います。
つまり、直腸に癌があっても、肛門から脱出する大きさになるまでは症状はなかったというのです。
実は、これは自然なことなのです。世間一般の方々は驚きになるかもしれませんが、大腸癌ができたとき症状は発生しないのです。ましてや、大腸癌になる前の大腸ポリープの状態では症状がないことは当たり前なのです。
(みなさんも、ほくろができたときに「肉眼で見えること」以外の症状があった方はいないでしょう・・・つまりできもの系は症状は出ないということなのです!)

その患者さん早速、癌の専門病院へ紹介となりました・・・おそらくは腹会陰式直腸切断術(Miles’ operation;永久的な人工肛門造設)となるでしょう。

さて結びです。
今日、私がここに声を大にして書きたいことは、ほぼ一点です。

皆様、症状がなくても大腸内視鏡検査を受けてください。

便潜血検査の結果が陰性であっても、症状がなくても、です。