大腸憩室とは、大腸にできた「えくぼ」です。
大腸憩室は大腸の内側からはへこんで見えるので、大腸内視鏡検査をすると、凹みに便が詰まっている姿が多く見受けられます。
・・・新谷先生の著書によると、悪い腸相の特徴の一つとして、この「大腸憩室症」が挙げられています。
「大腸憩室」は悪い病気ではありません。
放置しておいてもよいものです・・・単なる形の異常ですから。
アメリカ人では60歳以上の50%に、80歳以上ではほぼ全員に認められるというデータもあります。
では、どんな場合に問題が生じるのでしょうか?
大腸憩室そのものによる症状が現れる場合は、かなり稀です。
(一応)便通異常(下痢、便秘)、腹部膨満感、腹痛が挙げられますが。
実際に臨床的に問題になるのは、憩室に何か異常が起きた場合です。
具体的には以下の2つの場合のみです。(と言い切ってしまいましょう)
・「憩室出血」(憩室から血が出て止まらなくなる)
憩室出血では下痢、血便などを伴います。
どんどん血便が出てきてなかなか止まりません。
大腸内視鏡で止血できれば良いのですが、これがなかなかうまくいきません。
というのは、憩室は大概は多発しているので、どの憩室から出血しているのかわかりにくい場合がほとんどです。
加えて、仮に出血している憩室がはっきりしたとしても、うまい具合にクリップなどで止血できる場合は限られています。
出血がもしも止まらなかったら、手術で憩室を含んだ部分の大腸を切除することになります。
・「憩室炎」(憩室に細菌感染が起きる)
憩室内に便がたまって炎症が起こり、強い腹痛、発熱を生じます。
大概は絶食と点滴だけで改善しますが、進行すると大腸穿孔(大腸に穴があくこと)、狭窄(狭くなる)による腸閉塞を引き起こして手術が必要になることがあります(稀です)。
大腸憩室は平素の予防によりある程度は予防できると考えられています。
暴飲暴食を避け、繊維質の多く摂りバランスの良い食事に心がけ便秘をしない事が大切です。
とはいえ、「大腸憩室の予防」よりも「大腸癌の予防」のほうが重要ですが。