大腸内視鏡.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
       
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大腸内視鏡(大腸カメラ)挿入のコツ;「挿入法マニュアル通りにならない!」

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2012/01/12

以前、千葉県のある病院で無給で大腸内視鏡の荒修行?をしていた頃の話。
当時は内視鏡的大腸病学に関する本は多かったのですが、まだ大腸内視鏡の挿入法に特化した書籍はほとんどありませんでした。
大腸内視鏡を上達したいという思いが強く、当時出版されていた範囲内で「本を読んでは実践」を多少繰り返しましたが、その程度では正直あまり上達しませんでした。

当時の私は悩みました。
本を読んでも読んでも上達しないのは自分だけなのだろうか・・・!?
そもそも、本に書いてある挿入法は実は机上の空論なのではないだろうか!?
実際の大腸の走行は(注腸造影を見てみるとわかるように)個々人で異なるものであるからして、内視鏡の挿入法も患者個々人によって異なるのが自然であろう・・・そうに違いない!
つまり本に書いてあるパターンに当てはまるのはごく限られた一部の患者さんだけであろうと当時は考えたのです。

・・・・そんなとき、当時の大腸内視鏡の師匠のY先生に伺ってみました。
「挿入法の本を読むだけで、少しうまくなった実感を持ったことはありますか?」

師匠は言いました・・・「あります」

それから数年たって、大学等で大腸内視鏡を教える立場になってからよく質問されます。
「世間一般に出回っている大腸内視鏡の本に書いてある通りになりません」
「大腸内視鏡の挿入の本では、ここで右、ここで左なんて書いていますが、人間の腸の大きさや襞の数は個々人で異なるのだから本当に本に書いてあるのと同じように挿入が展開するなんてあり得ないのではないですか?」

それらに対して私はこう答えています。
「マニュアル通りにならないのは、マニュアルに書いてある趣旨を具体的なイメージとして理解し違えているか、挿入途中で既にマニュアルに書いてある挿入法から逸脱してしまっているからだ。」
「内臓逆位でもなければ、理論的にはルーメンの展開方向がマニュアルと異なるはずはない。一襞レベルで言えば、反対方向にルーメンがあることはよくあるが、それを手に感じる感覚をガイドにして理想の展開系へと整理整頓していく作業が大腸内視鏡挿入の真髄である。」
「もちろん完全にマニュアル通りに(軸保持短縮が)キマらない症例がないというわけではない。それでも大腸内視鏡挿入のマニュアルにあるルーチンの9割以上は通じるという印象がある。」
「完全な軸保持短縮、ひいては軸保持直線的挿入という理想型へ自分がどの程度近づくことができるか。大腸内視鏡の修行は果てしなく続く。」

・・・・いかがでしょうか。
荒修行当時は私の疑問に逐一答えてくれる先生が身近におらず、将来の自分が質問に答えてくれるように祈って記述した日記が拙著「大腸内視鏡挿入法の手引き」(非売品)の原型です。

本物のプロフェッショナルで高度な医療が求められている今の時代、真にプロフェッショナルな大腸内視鏡検査はまだまだ一部の専門家しか施行できていません。