大腸内視鏡.jP
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大腸内視鏡でのポリープ切除方法

2017/07/01

皆さん、こんにちは。横浜市胃腸科肛門科のららぽーと横浜クリニックです。
本格的に暑くなってきましたね、体調は崩していませんか?
今回は、大腸内視鏡.jpのブログらしく、大腸内視鏡検査でできるポリープの治療(=内視鏡的ポリープ切除術)の方法についてお話します。

大腸内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)とは

大腸の粘膜面から内側に向かって突き出た、隆起性病変(いわゆる大腸ポリープ)が大腸内視鏡検査で発見された場合、その場で切除・治療する方法です。
*大腸ポリープ・大腸粘膜の構造については『大腸ポリープ・癌とは』のページと『大腸がんのステージ・進行度のブログ』も参考にしてみてください。

近年の内視鏡技術の向上に伴い、大腸ポリープの切除が内視鏡で可能になっています。大腸ポリープは、放置すると癌化する可能性があるので、早期に切除することで大腸癌の予防につながります。
内視鏡でのポリープ切除がどんなものか、想像ができますか?細いチューブしか腸に入っていないのにどうやって切除を?と思うかもしれません。
実は内視鏡の管の中に通せる更に細い医療器具を使って切除をしているんですよ。切除方法にもいくつか種類があります。どんなものがあるのでしょうか。

ポリープ切除の方法

コールドポリペクトミー

高周波電流のような熱を加えずに切除する方法です。
コールドポリペクトミーには2つの方法があります。

上の画像のようなポリープ除去専用の鉗子(かんし)でポリープをつまんで切除する方法(コールドフォーセプス・ポリペクトミー)と…

上の画像のようなスネアという特殊なワイヤーでポリープの根元を絞めて切除する方法(コールドスネア・ポリペクトミー)があります。
原則として、4mm以下の小さいポリープは鉗子でつまみ、5mm以上10mm未満のポリープはスネアを使用する場合がほとんどです。

≪コールドポリペクトミーのメリット≫

コールドポリペクトミーは、「粘膜下層」は傷つけずに「粘膜」の病変のみを切除する方法なので、出血や穿孔の危険性が低く安全な方法といわれています。
熱を加えないで切除するということはいわゆる『生切り』状態です。それだけだと出血するのではないかと思いますが、実は、大腸の血管は「粘膜」の下にある「筋肉層」に主に存在するので、「筋肉層」を傷つけずに粘膜の病変を切除できれば出血は数分で止まり、術後出血はほとんど見られません。また、粘膜の傷は回復も早いため、穿孔の可能性が極めて低いのです。

高周波電流を使用したポリペクトミー

コールドポリペクトミーに対し、高周波電気手術装置(電気メス)と専用の高周波スネアを使用してポリープの根元を絞めて焼き切る方法です。
小さなポリープやくびれのないポリープの場合は、ホットバイオプシ鉗子でつまんで切除することもあります。

≪高周波電流を使用したポリペクトミーのメリット≫

「粘膜下層」の浅いところの病変までなら傷を比較的小さいままで切除でき、止血も同時にできます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

平らな形をした病変に用いられる方法です。

病巣を確認したら、まず内視鏡の先端から出る注射で、腫瘍の下側(粘膜下層)に高張の食塩水(医療用の食塩水)などを注入して、腫瘍が盛り上がった状態にします。

あとは上記のスネア・ポリペクトミーと同じように、病変が盛り上がったことでできた、茎に当たる部分に高周波スネアを掛けて、病変をまわりの粘膜とともに焼き切ります。

≪内視鏡的粘膜切除術のメリット≫

粘膜下層に食塩液の層があるため、大きく切除しても安全な方法になります。また、早期の大腸癌であれば、開腹せず日帰りで切除できるため、患者さんの体への負担が軽く済みます。

内視鏡的粘膜切除術(ESD)

大きな病変に対する治療で、病変の下側に薬液を注入しながら、病変を電気メスで薄くはぎ取る方法です。
専用の器具を使い、ポリペクトミーやEMRでは切り取ることができない大きな病変も一度に切り取ることができます。ただし、手術範囲が広範囲に及ぶため施行時間も長く、全身麻酔下で行われますので、入院が必要になります。

最後に…

いかがでしたか?
大腸癌の芽だと言われる大腸ポリープも形や大きさなどで最適な切除方法が変わってきます。
内視鏡医師が適切な切除方法を判断して使い分けています。
「手術が必要って聞くと怖いなぁ」と思うかもしれませんが、今や検査も切除も日帰りで出来る時代です。(もちろん、大きなポリープなどは傷も大きくなるので入院して切除をする場合もありますが)ポリープがあると診断されたら放っておかずに、まずは専門医に相談をしましょう。