みなさんは排便をした後、便の色や形を確認していますか。「そんなもの、あまり見ない…」と思うかもしれませんが、実は便の色で体内の様子をある程度知ることもできるのです。
今回は「便と健康」についてお話したいと思います。
なぜ便で健康状態がわかるのか
私たちが食事をすると、食べ物は「口→食道→胃→小腸→大腸→肛門」といった流れで消化器官を通っていきます。
その際、臓器や腸内細菌の影響を受け、様々な条件により便の色が変化することがあるのです。つまり、便は単なる排泄物ではなく、自分の健康状態を教えてくれる貴重かつ、重要な情報源になります。
基本的には排便は毎日あるものですから、毎日健康チェックのチャンスが巡ってくることになりますね。
では、どのようにしてチェックをすればよいのでしょうか?
まず、最初に「便の形」をきちんと知る必要があります。
バナナのような便(普通便)
便の形でよく言われるバナナのような便です。太く長い便が一本でするっと直腸から出されたものは健康状態が良く、消化~排泄の仕組みが順調だったことを表しています。
ペーストのような便(軟便)
形はあるけれども水を流す時に便器の中に便が広がるような柔らかい便は少し注意が必要です。消化不良を起こしやすくなる脂肪分の多い食べ物の摂り過ぎに注意をしましょう。
コロコロしている便(硬便)
便秘の人に多い典型的なタイプの便で、腸内での滞在時間が長く、水分が余計に吸収されてしまい粘り気が失われた事が原因です。食物繊維や水分が不足していたり、腸疾患である可能性がも否定できません。食生活や生活習慣の見直しをしてみたり、消化器科の専門医に診てもらうことをお勧めします。
泥状の便(水様便)
水分が主体となっている、シャーっと出てきてしまう便で一般的に下痢と呼ばれるものです。寝冷えや暴飲暴食、十分に消化・吸収が出来ないときになります。つまり、消化器が受け付けないものを早く外に出そうとする拒絶反応の現れです。一時的な物であれば様子を見ますが、続くようであれば専門医に診てもらうことをお勧めします。
当てはまるものはありましたか?この便の形と合わせてチェックすべきなのが「便の色」です。
矢印の方先へ向かう色になるほど、健康的な便と言えます。便の色は大腸の通過時間で決まってきます。滞在時間が短いほど明るい黄色で、長いとこげ茶に近づきます。黄土色から茶色までは健康な便と言えます。
色だけではなく、黄土色のような便であっても水のような便が続く場合は何かの腸疾患の可能性もあります。
食べ物の色が反映されることもありますが、そうでない場合の黒色の便は明らかに体の危険信号です。黒っぽい便は「タール便」とも呼ばれ、上部消化器管(胃や十二指腸)の状態の変化を表している可能性があります。
赤色の便も黒色便と同様に危険信号である可能性があります。鮮紅色、または暗赤色の血液が混ざった便のことを「血便」と呼び、大腸の病気による出血で、水様性の便は食中毒や赤痢、潰瘍性大腸炎などが疑われ、軟便、普通便であれば大腸癌が疑われます。ただ、血便でもっとも多いのは切れ痔によるものですが、切れ痔だと思っていたら大腸癌だった…ということは稀なケースではないのです。そのため、血便が見られた場合はまずは専門医に相談をすることが必要です。
いかがでしたか。
自分の便にあてはまるものは見つかりましたか?
「覚えていないな…」という方は、これを機会に日常的に自分の便の色と形を確認する習慣をつけてみましょう。
排便後は振り向いてもサッと流してしまいがちですが、少しの手間で様々な体の不調を発見できますし、それは病気の早期治療につながります。
健康的な標準の便の色や形と異なっていることが続いているようであれば、大腸内視鏡の検査などの精密検査を受けることをお勧めします。