今回は当院の医療事務員による記事です。
(以下、始まり)
皆様は病院を受診する際に何を持って行きますか?
【保険証】を必ずもって行くと思います。
この【保険証】ですが、病院の受付の勤務をしていますと、たまに忘れてきてしまう患者様がいらっしゃいます。その場合、お会計は全額自費でご清算して頂くようになるのですが、「本日は保険証をお忘れなので、全額自費でご清算して頂きますが宜しいでしょうか?」と伺うと、とても不安な様子で「いくらかかりますか?」と質問されてくる方がほとんどです。保険証をもって医療機関を受診するというのは当たり前のようなことですが、見えない安心があったのですね。
今回は、この保険証、つまり【保険医療制度の意義】についてお話ししていきたいと思います。
まず、皆様はなぜ保険証を持っているのか?・・・それは、我が国には世界に誇れる【国民皆保険制度】というものがあるからです。日本における医療保険制度は国民皆保険制度と言われ、全ての人が保険に加入する事が義務づけられています。日本の公的医療保険の運営者は、政府、企業、市町村など複数ありますが、どの保険に加入していても全国で同様の医療が受けられます。年齢や条件によっても異なりますが、一般的には、医療機関を受診した際には、総額の3割分を自分で支払い、残りの7割分については医療機関が患者さんが加入している保険者へ請求をしているのです。ですから比較的安価で医療を受けることができているのですね。
【保険医療制度の意義①】 国民が安価に医療を享受できる
*日本の医療費がいかに安価であるのか、盲腸で手術入院した際の医療費で比較してみましょう。
≪盲腸での入院≫
日本;約37万円 (入院7日)
ニューヨーク;約240万円 (入院1日)
香港;約152万円 (入院1日)
ロンドン;約115万円 (入院5日)
グアム;約55万円 (入院5日)
日本の医療費が海外と比較してあまりにも安価設定であることは知られていますが、比較してみるとあらためて日本の医療がいかに安価なのか分かりますね(国が設定した価格なのです)。そういえば海外旅行の時に病気になって高額な医療費を支払ったという話も聞いたことがあります。ついでに言うと、日本では救急車が無料なのは当然のことですが、海外では一回の出動で4~5万円かかる地域もあります。
・・・さて、皆様はこの国民皆保険制度により安価な医療を受けられること以外に、どんなメリットを思いつきますか?
保険証は日本全国どこの医療機関でも使える→皆様は同じ条件で、自分の受けたい医療を全国の医療機関から選ぶことができるのです。
【保険医療制度の意義②】 国民が質の良い医療機関を選別できる
仮に国民皆保険制度がなければ、例えば盲腸で入院する際に
A病院は、評判がよく医療費が150万円かかる
B病院は、評判は悪いが、医療費は30万円程度である
こんなふうに費用面での条件が異なることになるので、病院選びの基準が質か費用のどちらにに重点を置くのかで選ぶ病院が変わってしまいます。つまり、受けられる医療が貧富の差によって変わってしまうことになるわけです。また、病院選びも病院の評判や、病院ごとに異なる医療費との兼ね合いで大変になることでしょう。
我が国の【国民皆保険制度】では、保険証は日本全国どこの医療機関でも使えて皆様は費用の条件が同じ中、患者さんは良い医療を受けることだけに集中して評判のいい病院をぶことができるのです。
現在はインターネットが大分普及しているのだから、家から近いからといって評判の悪い医療機関を選んだりすることなく評判のいい病院を選び、質の高い医療を受けたいですよね。実際当院では、口コミや評判などを聞きつけてかなり遠方からの患者様がいらっしゃいます。当院は神奈川県にありますが、北海道・東北・関西・四国などからでもわざわざ新幹線や飛行機を乗り継いで来院してくださるのです。それは、胃大腸内視鏡検査や肛門の日帰り手術を受けたい患者さんが良い医療を受けることだけに集中して病院を探した結果、当院を選んで受診して下さるからなのです。
(以上、終了)
・・・いかがでしょうか。基本部分は網羅されていますね。
つけ加えるならば、保険医療制度は「まがいもの医療を排除できる」という重要な意義もあるのですが、これについてはまたの機会に。