なぜ、完全内臓逆位でも大腸内視鏡挿入法のゴールデンコースが違いがないのか。
この命題は非常に興味をそそりますが、考察・予測の域を出ない議論です。
そもそも通常の症例でS/Cが右へ右へ展開する理由は、私の著書内に書いています。
まずはそれを再度ここに簡潔に書きます。
S状結腸間膜を扇子を広げた状態のように見立て、扇子の先に沿ってS/Cが位置しているものとします。右手の右方向のひねりのみで扇子を閉じるようにS/Cを畳むというものです。
ここでS/Cが畳まれる場面の想像図としてはコーラの缶を足で上から踏みつけるように、グシャっと短縮されるのです。
・・・・ここまでを理解されていない専門医の方が大多数なのかもしれませんが、もうこれは理解&修練です。
ここの部分までを理解されていなければ以下の文章を読んでも何を言っているのか、全く理解不能と思われます。
では、RsからSDJにかけて完全内臓逆位で右へ右への展開になる理由とは!
私は思います。
もう、それは大腸(S/C)の軸回転方向の問題であると。
つまり、肛門から見た時に、大腸が右らせん状に捻じれあがっていく発生学的?解剖学的?位置にあれば、右手の右ひねりで軸保持が達成されるのは自然なことなのではないかと。
普段の患者さんでのS/Cの下腹部での位置を想像してほしい・・・通常の患者さんなら下腹部のうち、前面にS/Cは位置している。ところが、完全内臓逆位の患者さんにおいて、右らせん状にRsから患者さんの右側腹部へ向けて捻じり上がっていくとするなら、それはつまり、完全内臓逆位の患者さんではS/Cが下腹部で正常よりも後面(posterior)を位置しながら、SF(この場合、SDJ直前のS/Cよりも全面;anterior)に合流していることを意味するのではないかと。
・・・・いや、間違っていたら、すみません。
解剖学の先生に話をすれば少しは解明できるのかもしれません。
解剖学の先生も、何も大腸の発生学を専門にしているわけでもないでのでしょうけれど・・・
またいつか、完全内臓逆位の患者さんの大腸内視鏡で、T/Cが左下への展開になる理由を考えましょうか・・・