大腸内視鏡(大腸カメラ)を行うにあたって、最も重要なポイントの一つがRsであることは以前に書きました。
肛門から挿入してから左方向にひねって進み、右方向への転換点を探すというルーチンなのですが、腸が過長な症例では、なかなか右展開できる場面が見つかりづらいことがあります。
(っと、なぜ「右展開」が重要なのかは、この記事よりもレベルが一つ下がります。またいつかの機会に。)
実は、この「見つかりづらい」には2種類あります。
1、左ひねりで進む長さが長くて、進んでもなかなか右方向へ展開していくべき場面が訪れない
腸が過長なことが原因ですが、右展開すべきポイントを見極めることができれば、時には左右アングルを使って丁寧に行うことで、比較的容易に右方向への展開に入れます。
こういった症例では、S/C topまで来たときに「右ひねりしても先端が届かない」という現象が頻発です。
直腸の短縮操作や仰臥位での適切な場所への腹部圧迫が必要になることが多いです。
2、右展開すべき場面が訪れているが、右方向にルーメンを位置させると逃げられてしまう
S/C~Rsの腸間膜非固定部分が多いことが原因です。
右展開するポイント(ルーメンは右に見えている)に来て左右のアングルに指をかけようとした瞬間にルーメンが上下のどちらかにクルッと回転して逃げます。
もう一度右方向にルーメンをもってくるようにして、左右アングルに指をかけ・・・・(たら、またもう逃げています!! クルッ)。
・・・・実にもどかしい(腸との)攻防が続くことになるのですが、ここで我慢が必要です。
大腸内視鏡検査のスキルがある医師が挿入長16-20cm程度で、しばし悩み戸惑っているように見える場面は、大概はこの場面です。
もう一度書きます。
これらの場面で「我慢強く」右展開する腸管を見定めなければなりません。
我慢しきれず、右展開できなければ、必然的にループを作ることになりますので、患者さんに苦痛を与えることになるかどうかは運を天に任せることになってしまいます。
(もし大腸内視鏡が内視鏡挿入の速度を競う「競走」であったなら、ここはプッシュでループを作って、後で直線化;ループ解除すれば良いでしょう)
逆に、ここで誰よりも粘り強く右展開し軸保持達成できた医師は、後で患者さんに「今までで一番楽に検査してもらえた」と、喜ばれること請け合いです。
(患者さんが初めて大腸内視鏡検査を受けた場合なら、「こんなものか」で終わりですが・・・)