大腸内視鏡の挿入のコツは「軸平面」を意識することです。
(拙著「大腸内視鏡挿入法の手引き」(非売品)は私が大学病院在籍時に後進の指導に使っていた著書です。
当ブログの専門医師向けの記事はこの本に書かれてある内容を引用したものです。)
「軸平面」とは何ぞや? と思われる医師の方も多いと思いますが、私が今から勝手に定義します。
「軸平面」とは・・・
腸管がひとつのらせん上に存在する場合、らせんの中心をなす直線部分を内視鏡と見立てることにします。
すると、内視鏡のシャフト部分をJ字型に曲げて(=アップアングル)から右手でひねりながらプッシュしていくと、内視鏡の先端部分は腸管の存在する部分をらせん状に進んでいきます。
単一操作で内視鏡を進められるこのような場合、脳での感覚的な理解としては、腸管は(実際には曲面上ですが)あたかもシンプルな平面上にあるようなイメージとなります・・・・この仮想「平面」のことを「軸平面」と呼ぶことにします。
「軸」という言葉を用いるのは、この螺旋の中心に内視鏡が位しているイメージで挿入が行われる場合は、軸保持の挿入となるからです。
最もシンプルな場合では、腸管が一つの弧上に存在する場合も「軸平面」上にあると言えます。
この場合は、扇子を想像すれば分かりやすくなりますが、扇子の先の曲線部分が腸管であり、紙の部分が腸間膜です。(この場合は腸管は実際に平面上ですね)
ひとつの螺旋上、または弧上に腸管が位置する場合、「腸管が同じ軸平面上に存在する」というように言うことにします。
一つの「軸平面」上に腸管が存在する限り、一つの大きなひねり中心(+プッシュ)で内視鏡を進めていくことが可能なはずです。
さて、その「軸平面」を意識することを大腸内視鏡の挿入にどのように活かすのかは、次回に続くです。
・・・少しヒントを書いておきます。
らせん状に巻き上がるS状結腸が、感覚的に一つの平面(軸平面!)上に存在するように見えてくると、大腸内視鏡の開眼は近いです!
「軸平面」はあなたの頭の中にのみ実在するのです!