多くの方が人知れず悩む便秘。
便秘の原因によっては大きな治療が必要になりますので、専門医の受診が必要です。
(参照)便秘
便秘を分類すると「器質性」と「機能性」に分類されます。
■器質性便秘とは
胃、小腸、大腸、肛門などの消化管に何らかの原因により物理的な障害が起こることで、排便がスムーズにできない便秘のことです。
腸の腫瘍や炎症、閉塞などにより腸の通りが悪くなるために起こるものと腸の長さや大きさの異常によって起こるものがあります。
原因となる疾患としては「大腸癌」「大腸ポリープ」「お腹の手術後の腸の癒着」「潰瘍性大腸炎(いわゆる「腸のアトピー」です)」
「子宮筋腫(病巣が大きくなることで腸管を圧迫します)」「大腸過長症」などがあります。
■機能性便秘とは
排便機能のメカニズムそのものの障害で、自律神経が正常に働かないことによる便秘です。
さらにその中でも「急性」と「慢性」に分けられます。
「急性」は一時的な場合が多く、とくに治療を必要としません。
「慢性」は大腸の緊張や運動性が低下するために排便が滞った状態です。
一般的に週二日以上排便がない状態が少なくとも一ヶ月以上持続する便秘をいいます。
1.急性便秘
一過性の単純な便秘症(自然に治る便秘)です。
旅行に出かけると便が出なくなったり、出張や転勤など生活環境の変化、ダイエット、水分不足など食習慣の変化、月経前や精神的ストレスなどの影響で起こるものです。これらの原因を取り除くことで自然に治ります。
2.慢性便秘
常習性便秘(通常の便秘)です。
(a) 弛緩性便秘(自分の努力で治せる便秘)
様々な原因により大腸壁の緊張が低下して、大腸の動き(蠕動運動)が活発に行われないため便を十分に肛門へ押し出せない状態です。停滞した便は大腸壁での水分吸収が加速します。そのため便が硬くなることで排便しづらくなり、便秘となります。
便秘の大部分がこの弛緩性便秘です。腹筋が弱く体力のない高齢者、虚弱体質者、出産後の女性に多い。
(b) 直腸性(習慣性)便秘(自分の努力で治せる便秘)
便意を感じたときに我慢し続けた場合や下剤や浣腸を誤用、乱用した場合に、それが習慣化し、排便反射がおきにくくなり便秘になります。習慣性便秘とも呼ばれています。
(c) 痙攣性便秘(専門医の治療が必要な便秘)
大腸壁の緊張が強く、大腸の動き(蠕動運動)がいたるところで起こることで便の移動が障害された状態です。
多くは過敏性腸症候群(大腸過敏症)に伴うものです。日常生活の様々なストレスが腸に影響を及ぼし腸が過敏状態になり、痙攣して便がスムーズに出なくなり、便秘となります。しばしば下痢と交互に起こる場合があります。
この痙攣性便秘は環境の変化、精神的ストレス、過労や睡眠不足による自律神経の異常が原因とされます。
・・・・いかがでしょうか?
もう、種類がたくさんあって、自分がどれにあてはまるのかわからないのが普通だと思います。
私の外来には今日も多くの便秘患者が訪れました。
放置しておいて良いことはひとつもない「便秘症」です。
昔からの「便秘症」の方も早めに専門医を受診してください。