アトピー性皮膚炎の患者数はは増加の一途をたどっていることは、よく知られていることです。
(実は私もアトピー性皮膚炎を患っています・・・)
さて、大腸にもアトピー性皮膚炎と同じく、免疫系が乱れることで表面に炎症が起こる病気があります。
その名は「潰瘍性大腸炎」(Ulcerative Colitis;UCと略されます)・・・わが国の特定疾患(難病)として厚生省に認められています。
(参照)潰瘍性大腸炎とは
「難病」と言われるとかなりマイナーな難病奇病では?と思われるかもしれませんが、実はそんなにレアではありません。
私はかつて、ある病院でUCなどの腸の慢性炎症の専門外来を担当していたことがあります。
その外来では私が診察する患者さん全員が「難病」ということになります。
2004年度の特定疾患受給者数(=厚生省に認められたUC患者数)は8万人以上で、どんどん増加しています。
申請しなかった患者数も含めると、実際のUC患者数は軽く20万人を突破するでしょう。
潰瘍性大腸炎の典型的な症状は、なんといっても下血です。粘液のような、血が混じった便であることが多いです。
腹痛や下痢、痔などの症状があって、大腸内視鏡検査を受けて初めて「潰瘍性大腸炎」であることが判明するケースもよくあります。
なので、診断のためには、お腹の症状がある場合に医療機関を受診して、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。
腹痛や下痢などの症状が続いている場合に「普通に薬の内服処方だけで症状がなくなったら終わり」という治療をしているケースを(専門でない医療機関では)よく見ますが、論外です。
その症状はUCなどが一時的に悪化した症状かもしれませんし、そうでなくても、大腸の病気が潜んでいる可能性は高いのです。
それを明らかにするのは大腸内視鏡検査しかありません。
・・・・ところで、この「潰瘍性大腸炎」ですが、アトピー性皮膚炎と全く異なる側面を持っています。
それは・・・大腸癌の発生率を大幅に引き上げる(500倍以上との報告もあります)ことです。
つまり、「潰瘍性大腸炎」と診断された場合、内服薬を用いて炎症をコントロールするだけでなく、大腸癌が発生していないかを定期的に(一年に一回が日本のスタンダード)大腸内視鏡検査で調べる必要があるのです。
そういう意味では、UCは基本的に「治癒する」病気ではなく、「コントロールしていく」「管理していく」病気です。
わかりやすく言うと、投薬と定期的検査(大腸内視鏡)です。
(勢い、UC患者さんは毎年の大腸内視鏡検査を楽チンに受けることができる技術ある医療機関に集中することになります)
(参照)無痛で優しい大腸カメラ
今年は昨年以上に多くの患者さんの特定疾患申請用紙を記入しました。
数年前と比べても、この病気の患者さんが増加していることを肌で実感しています。