内視鏡のNBIって何ですか?
もし知り合いに聞かれたら、こう答えるでしょう↓
「内視鏡検査において、胃や腸に青い光をあてることで、血管を浮き出させて見えるようにして病気を見つけやすくする仕組み」のことです。
これがですね・・・実際使ってみると、言い方は良くないけれど、まさに「バカチョン」なくらい簡単に病気がわかるんです。
これで病気を見つけてからNBIをoffにしてみると・・・!!やはりよく見たら小さな病気があることがわかります!(よく見ないとわかりません)
まったく、ヒトの視力には限界があることを実感させられます。
よく考えてみれば、これまでヒトの通常視力に依存してきたこと自体が不自然なことだったのかもしれません。
実際にNBIを使用すると、胃や腸の表面の血管部分が茶色に見えることによって血管模様がはっきりします。
血管模様によってどんなタイプのポリープなのかが概ねわかるので、NBIは非常に便利です。
また、普通はまず見えないような大きさの病変もくっきり描出できるので癌の早期発見に役立ちます。
(参照)特殊光による大腸内視鏡診断
・・・そうそう、書き忘れていましたが、NBIとはNarrow Band Imaging System (狭帯域画像システム)の略です。
やや専門的に解説すると以下のようになります。
・NBIとは
従来の内視鏡は先端にカメラや光源のついたスコープ(細い管)を体内に挿入し、体の内側から胃や大腸などを撮影し、外部のモニターに映しだす医療機器です。
それに対して新型内視鏡、NBIは、光源(照明装置)の先端に、青い光だけを通すフィルターをとりつけ、患部に波長の短い青い光があたるようにして観察するものです。
癌ができると、栄養を運ぶため非常に細い血管ができることから、癌細胞の周りには正常細胞には見られない不整形な模様ができます。
NBIでは、狭帯域に絞って調べるため、この模様の部分が強調され、正常細胞との見分けがつきやすく発見出来る確率が高い優れものなのです。
50年以上の飲酒歴と喫煙暦が2大危険因子とされている食道癌、口腔・咽頭癌は拡大内視鏡で上皮乳頭内毛細血管ループ(IPCL)の形態変化とNBIで茶褐色域とその境界を見ることにより超微小癌も発見が可能となりました。
従来、下咽頭癌の6~8割は進行癌で発見されていましたから拡大内視鏡とNBIでの早期発見は、治療を著しく早く治療することが出来るという大きなメリットとなりました。
実際に上部消化管の検査にNBIを試験的に使用した結果、200人に20人以上という高率で、1~2mmというごく初期の咽頭癌を発見。
通常の検査では、こうした初期の咽頭癌を発見できることは極めて稀です。こういったものを発見出来た経緯があるのが、NBIです。
・NBIは他にもたくさんのメリットがあります
まず、大腸癌などの場合、拡大内視鏡との併用で、粘膜の微細な構造まで観察できます。
癌の境界を的確に診断できるため、手術の際のとり残し又は逆に小さく切除しすぎて癌を取り残す危険を防ぐことができます。
また、NBIでは、組織の一部を切りとって癌の有無を調べる生検や、
食道癌のルゴール染色(組織にルゴールを塗って、その色の変化から癌の範囲を調べる検査)の必要性が低くなります。
ルゴールには過敏症をおこす人もいるため、そうした人にとっては朗報です。
・・・長文で申し訳ありませんでしたが、いかがでしょうか。
NBIが内視鏡革命と言われる理由を理解して頂けたでしょうか。